「天文機材は使わない時間の方がずっと長い」。言葉を変えれば、「天文機材は保管のためのものである」とも言えます。これは月に数回は観望に出かけるアクティブな天文ファンの方々の機材とて例外ではありません。また、天文機材の使用環境は劣悪そのものです。結露や凍結、土ぼこりに砂埃、指紋や目脂による汚染、また、車載時の振動、闇夜で不注意からの破損、など、など・・です。しかしながら、機械的、構造的にまじめに作られた天文機材は、ユーザーの注意深い使用ならび保守管理と、製造者側のメンテナンス対応次第では、おそらく一生涯にわたって楽しめるものと思われます。 アイピースの保管と使用時の注意について、横浜市ご在住の天文ファン三品利郎さんからレポートをいただきましたので、弊社でアレンジして掲載させていただきました。実際に使う側からの体験を交えてのレポートです。 また、望遠鏡本体、架台、モータードライブやCCDなどの電子機器につきましても、保守・管理、運用について、皆さんの「おれは こうやってるぜ!」といったノウ・ハウをぜひお聞かせ下さい。
アイピースを取り扱うときにユーザが注意すること 三品利郎 神奈川県横浜市 (1) ドロチューブにストッパがあり、重いアイピースを付けた際にもシッカリと止まる。
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(1) 湿気の少ない、風通しの良いところに保管しましょう。 (2) 不注意によって落下させないようにしましょう。 |
アイピースの保管、運搬、観測現地での使用、すべて条件が違うので一つのバッグですべての条件をこなすにはユーザー側での注意が必要になります。「ケースに入れてひと安心」ではないのでくれぐれもご注意を。 写真は「アイピースキャリーバッグ」 |
車で運ぶ時には、揺れなどのショックが小さく成る様にカメラバッグにシリコンクロスで包んで入れるなどの工夫をしましょう。(TVのアイピースキャリーバッグは観望に遠出する時に便利です。)こういうときは、乾燥剤は抜いておいた方が良いでしょう。山の上などで、夜露に会うと乾燥剤がダメになってしまいます。 |
カメラ店で入手できるシリコンクロス縫製のレンズケースです。アイピース外部の汚れも取れて一石二鳥ですね。カメラレンズに匹敵する大きなアイピースがありますので、カメラレンズと同じ発想で扱うことは合理的かもしれません。 写真提供:三品さん |
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レンズポーチに入れたアイピースをカメラバックに収納したところです。おそらく誰もアイピースが入ってるとは思わないに違いありません。カメラバッグにはクッション材が内装されショックに強そうです。 写真提供:三品さん |
(1) アイピースをテーブルの上に置く際には、テーブルを水平にすることです。 野外にテーブルを置く時は、レンガをいくつか容易しておき、適宜、足の下に噛ませて水平にするとよいでしょう。例えば、富士山の5合目駐車上の地面は、傾斜しているので、そう言った配慮が必要でしょう。但し、アイピースをテーブルの上に並べると、不注意でテーブルから落とすことがあります。また、不特定多数の人が集まる場所では、目を離した隙に盗難にあうなどの危険も考えられるでしょう。従って、アイピースをテーブルの上に並べるのは止めた方が良いでしょう。例えば、TVのアイピースキャリーバッグの様なものに入れて蓋をして、テーブルに置くと安心です。 (2) 三脚の三角板にアイピースを置かない 三脚の開き止め兼用の三角板に、アイピース用の穴があいたものがあります。しかし、穴の大きさが24.5mm向けのことが多いので、31.7mmや2インチのアイピースは穴に入らず、三角板の上に並べることになります。これも、落下の危険があるので止めたほうが良いでしょう。 (3) アイピースバッグを地面に置くのも良い方法です。ただし、蹴飛ばさないように、明るい色のバッグにしましょう。 (4) カメラマンベストを着ていると、アイピースをポケットに入れられるので、とても便利です。 |
夜間の観測地では目立つ色にすることが重要です。また、露や霜、土ぼこりからの保護対策も必要です。ケースをダブルにして万全を期している様子がうかがえます。 写真提供:三品さん |
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三品さん愛用のカメラマンベスト。ポケットがいっぱいあるのでそれぞれのポケットにアイピースを個別収納できます。もちろんポケットはファスナーやマジックテープで塞ぐことができるようになっています。ポケットの中でアイピースをガチャガチャさせている人はこれで解消間違いなし。 写真提供:三品さん |
(1) 2インチアイピースの様に大きく重いものを扱う時は、両手で扱うのが常套手段です。 片手で持つと、落とす危険が高いからです。めんどうがらずに、両手で扱う習慣を徹底しましょう。片方の手で胴を掴んだらもう片方の手を必ず下に添えるのです。 (2) 重いアイピースの着脱によって、鏡筒のバランスがズレます。シッカリとクランプが止まっていることを必ず確認しましょう。 (3) 万が一、着脱時にアイピースを落としてしまった時に、地面との直撃の衝撃をやわらげるため、タオルやクッションを下に敷いて置く方法もあります。 |
下山する時は、山の上で冷え切ったアイピースが急に暖かい空気に触れると、露がついてしまうことがあります。山から帰ったら、「露」がついていないことを確認してから、保管しましょう。もし、「露」がついていたら、乾かしてから「保管」しましょう。通気性のないバッグやケースに入れてあれば、山から降りる時の、結露が少なくなるでしょう。 |
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