株式会社ジズコ

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惜しげない気風(An Ethos of Largesse)
by Peter Tyson、Sky&Telescope (April 2016)


それぞれの人がそれぞれの想いで訪れるスターパーティ。漆黒の夜空を楽しむ人も多く、仲間といっしょに楽しむ人も。また、巨大な望遠鏡目当てに訪れることもあろう。

私の場合、最も楽しみにしていることのひとつが、そこで寛大な精神に出会うことだ。 昨年の8月、ステラファン(米国で有名なスターパーティの会場)で、金曜日の夜を過ごした。バーモント州スプリングフィールドのブリージーヒルの空は低空の暗雲に覆われていたため、周りの望遠鏡の多くにはカバーが掛けられ、オーナーの姿もない。望遠鏡の準備をして待ち構えている者もいるが、ほとんどがもっと良いコンディションを待っている。

多くの望遠鏡オーナーが曇り空でも晴れ間がないかと探すなか、口径5インチ(127mm)の望遠鏡を覗きにきた人たちを励ましながらいっしょに晴れ間を探す男が一人。誰かが「晴れるでしょうか?」と尋ねる。「まだチャンスは十分あるね」とスマイルを浮かべる男の顔を、私のレッドライト(星空観望に配慮したライト)越しに見る。

その男こそ、1955年にステラファンをはじめて訪れて以来、今年で72年目を数えるアル・ナグラー。2015年に80歳を迎え、テレビュー社の指導者でもあるが、”Shrine to the Stars”とも言うべき本大会への参加も80回を超える勢いだ。80歳ともなれば、ほとんどが床につくところだが、彼は違う。星に興味を持つ人たちには、惜しげなくあふれんばかりの情熱をささげる。

曇天にもかかわらず、アルはいて座のM22とM24を捉え、そのあと、ヘラクレス座の球状星団M13を視野に入れる。望遠鏡を振り回しながら夜空を探索し、アイピースを取り換え、どんなリクエストにも“ノー”と言わない。アルがアイピースの視野に入れたE.T.星団を覗いたビジターには、“上下が逆さまだけど、両目が判るかい。キュートだろ!”と声を掛る。深夜そろそろ床に就く前、“暗い雲間に天の川がみえるね。こんなビューティフルな天の川にはそうはお目にかかれない”と、だれに語り掛けるでもなく夜空を見上げるアル。

アル・ナグラーは、天文愛好家にあふれる私心のない善意を表す格好の例である。2014年にS&T誌に加わり、多くのスターパーティやイベントに参加し始めた私にとって、そのクオリティは卓越している。天文の趣味の良さは、とてもナイスな人々と、星を観たい人なら誰とでも、ただただ夜空の美しさを分かち合いたいという気持ちなのだ。


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