株式会社ジズコ

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低倍率観望の楽しさ_From The Best of Amateur Telescope Making (1995)、by Al Nagler


宇宙の荘厳さに魅せられたのは、50年代、私がまだ10台のころです。私にとって「天空のこうごうしさ」は、広い星夜の眺めを暗示します。

ここでは、低倍率の意味、低倍率と視野の関係、“RTF”の意味、これまで観たなかでもとりわけエキサイティングな低倍率の眺めについて話します。

視野について

望遠鏡ではどれだけ広い視野を覗けるのでしょうか。どの望遠鏡の視野も、アイピースの視野絞径、望遠鏡の焦点距離で決まります。47mmを焦点距離で割ると、実視界のおおよその“タンジェント (正接)”得られるので、望遠鏡の焦点距離が500mmの望遠鏡なら、実施回は5.4度です。

F値について

F値の小さな望遠鏡は、口径と倍率が同じなら、明るさはF値の大きな望遠鏡と同じです。観望の場合、小さなF値は短い焦点距離を意味し、広い視野を覗くことができます。したがって、観望の場合なら、“F値の小さな”望遠鏡ほど広い視野を得られても、口径が同じなら、F値の大きな望遠鏡より像が明るいわけではないのです!

射出瞳について

たとえば、高倍率で広視界のアイピースで倍率を上げると、視野の広さを変えることなく、より詳細を観ることが可能です。見え味は一般的に向上しますが、なぜでしょうか。夜空の背景と天体のコントラストは変わりませんが、倍率が上がるだけ夜空の背景が暗くなるからです。ベストな低倍率観望を実現するには、天体を囲むことのできる視野で、なおかつ、最も高い倍率を選びます。目の欠陥の影響を最小限に抑えながら、最も詳細に、最高のコントラストで観ることができます。

低倍率の下限

極軸望遠鏡の倍率は任意の下限はありませんが、中央遮蔽のあるシュミットカセグレンの場合は違います。残念ながら、SCTは低倍率観望に理想的な鏡筒とは言えません。それでも、副鏡の中央遮蔽が20%までくらいのF4.5ドブソニアンやニュートン鏡筒なら低倍率観望にも使えます。ただし、パラコアのようなコマコレクタ―の併用を忘れないでください。 個人的には、インクが滲んだような星を観ても素晴らしい眺めとは言えません。

"RFT"

リッチ・フィールド・テレスコープとは、天の川などの広い天体をエキサイティングに観るだけの十分な視野と口径を持ち合わせた望遠鏡のことです。それではベストはRFTと言えば、視野全域で均一に結像するAPO屈折望遠鏡の方が若干好みです。 主鏡のできが良ければ、F4~F5の大口径ドブソニアンも同じようにベストな選択です。

観望対象

人の好みは十人十色ですが、以下、個人的に好きな天体を順にあげたいと思います。

• M24。さまざまな明るさの恒星と、美しく埋め込まれた星団に満ちた領域です。夜空の背景が暗くなりコントラストを上げて観ることのできる倍率を選びます。倍率を十分に低くすれば、M17 (オメガ星団) も同じ視野に捉えることができます。

• いて座小スタークラウド

• たて座スタークラウド (M11野鴨星団を含む)

• ペルセウス座の二重星団 • 天の川全域 (とりわけ白鳥座)

• 大きな散開星団。一般的なプレアデス

• 私がとりわけ好きなのは、さそり座のNGC6231周辺です。ごく低い倍率か、肉眼なら彗星のように見えますが、Riversideの集まりで倍率を上げて観ると、こずえの上で弧をたどるように、まるでダイアが散りばめられたかのよな散開星団でした。

• アンドロメダM33や、M81-M82などの銀河

• 同じ視野に捉えたM8とM20

• ひとつの視野に捉えた北アメリカ星雲と網状星雲 (ネビュラフィルタが必要)

• 南半球の夜空で輝くエータカリーナ (オリオン星雲のd矮星)、マゼラン雲、コールサック、宝石箱 (NGC 4755)、オーストラリアの奥地に影を落とすほどに明るく輝いていた天の川全域

さて、文筆で少し疲れました。星空を観に出かけたいと気分です。ごいっしょしませんか。


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