株式会社ジズコ

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パラコアタイプ2による“新たなるドブソニアン革命”


ここでは、Michael E. Bakich著の主題記事より、アル・ナグラーがパラコアタイプ2の開発についてコメントした内容を抜粋してご紹介します。

F12よりエフナンバーが小さなニュートン反射望遠鏡の場合、製作者は球面からパラボラ曲面にわずかに修正しなければならないが、そのことにより、星が彗星のように視野中心から外に向かって流れることから命名されたコマという収差が軸外しで生じる。コマ収差は実視界が広くなるほど、すなわち、ミラーのF値が小さくなるほど悪化する。

ナグラーアイピースを開発するまでは、アイピースの非点収差がコマの存在を覆い隠していた。初代パラコアは1989年に開発したが、コマコレクターは何年も前からプロの観測家により使われていた。テレビュー社から発売したパラコアは、アマチュアの観測家に向けた最初で、最も幅広く使われたコマコレクターだ。コマは、主鏡がF5より小さくなると、ほとんどの人にやっかいな存在になる。

パラコアの効果を測る一般的な方法は、F4.5より小さなF値のミラーを搭載した望遠鏡で、パラコアを使ったときと、そうでないときの視野周縁の星像の大きさを比較することだ。パラコアを使うと、星像は6倍小さくなり、輝度は36倍になる。たとえば、コマのせいで捉えることのできない球状星団の淡い恒星がある。パラコアを使うこと、シャープネスは6倍になり、すなわち、輝度が36倍になることで、その淡い恒星が見えるようになる。

さらに、パラコアを併用することで、視野周辺でも、視野中心と同じ光学性能を得ることもできる。これはほとんどの人にとっては美的に優れた点だが、追尾機能の付いていないドブソニアンの場合、対象が視野の端から端まで漂流するあいだ観望できるメリットも見逃せない。視野全域で同じ光学性能が保たれるので、手動ドブソニアンで観測しているときに鏡筒を動かす量が少なくて済む。

パラコアタイプ2が誕生したとき、1)天体撮影では、写野の一部だけではなく全域に渡りディフラクションリミテッドの性能が要求され、2)ミラーメーカーも、より短焦点ミラーに興味を示し、実現できるようになった。

とりわけ、マイク・ロックウッド製作した口径50.8cm F3のミラーを目にしたときは、知っているすべてのミラーメーカーに電話して意見を聞いた。いずれのメーカーからもポジティブな反応を得た私は、このコンセプトを前進させるため、自らその役割を確信した。

さっそく、テレビュー社に25年間光学設計者として勤めてきたポール・デレカイを呼び、新しいパラコアのパラメータを揃える。2”接眼部を前提に、眼視と撮影の両方で使えることが必要だった。

デレカイの光学設計を一言で要約すると、「コマ収差レベルについて、初代パラコアはF4.5ミラーをF12ミラーレベルに補正できるが、新しいパラコアは、F3ミラーをF12ミラーレベルに補正できる。さらに、F3ミラーだけでなく、あらゆるF値のミラーでも補正メリットがある」。

実際、F3ミラーにパラコアタイプ2を併用することで、視野周辺の 星像は、コマ補正無しのときと比較して、25倍小さくなる。すなわち、輝度は625倍になる。


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